【 ボルゴ・デル・ティリオ 】官能的な白ワインを生みだす、3つの畑の秘密とは?!
「ロンコ・デル・キエーザ」や「ストゥーディオ・ディ・ビアンコ」「ロッソ・デッラ・チェンタ」等、官能的なワインを生み出すフリウリ州のワイナリー、” ボルゴ・デル・ティリオ ” は、それぞれ個性の異なる3つの畑を所有している。
- Bressano (ブレッサーノ)
- Ca’ Delle Vallade (カ・デッレ・ヴァッラーデ)
- Ruttars(ルッタルス)
Bressano (ブレッサーノ畑)
” San Giorgio(サン・ジョルジョ) ” と呼ばれる丘に広がる、マンフェラーリ家が4代に渡り所有してきた、最も古い畑。
彼らのセラー兼オフィスに面した場所にあり、ボルゴ・デル・ディリオの核となる畑でもある。(飛地にように点在している)
南西に面した斜面に葡萄が植えられていて、常に温暖。
地質的には、型的な「ポンカ」と呼ばれるコッリオ固有の土壌。
特に面白いのは、この ” Bressano (ブレッサーノ)” 一帯の土地には、白ワイン品種であるトカイ(フリウラーノ)とマルヴァジーアには適しているが、反面、国際品種であるシャルドネとソーヴィニオンには適していない、と考えている点である。
また、赤ワインの ” Rosso della Centa(ロッソ・デッラ・チェンタ) ” に使うメルローや、 ” Rosso(ロッソ) ” 、 ” Rosso Riserva (ロッソ・リゼルヴァ) ” に混醸される、カベルネ・ソーヴィニョンも、ここ「ブレッサーノ」の畑から収穫さている。
特に、この「チェンタ」に使うメルローのクオリティ無しには、 ” Rosso(ロッソ) ” も、 ” Rosso Riserva (ロッソ・リゼルヴァ) ” も、ありえないと、ニコラは語る。
1981年の家業を引き継いだ当時、ボルドー風のワイン造りを目指していたニコラ・マンフェラーリは、手始めに2樽のワイン造ったが、このサン・ジョルジョの一帯で収穫されたメルローの品質は、とても満足できるもでなかったらしい。
翌2年間、彼は徹底してデータを収集し、畑の改善作業にエネルギーを費やす。
1985年、遂に高品質なメルロー100%のワイン ” Rosso della Centa(ロッソ・デッラ・チェンタ) ” をリリース。
このワインの成功をきっかけに、ニコラ・マンフェラーリの名前は、世界から注目を集めることなった。
Ca’ Delle Vallade (カ・デッレ・ヴァッラーデ 畑)
1985~1987年に取得。南東向きで日当たり良い土地。
北東からの冷たい風が吹き差す、比較的冷涼な地域に位置している。
畑の土のサンプルを見ると、赤色の地質であり、鉄分を含んだカルソの地質(テラン)の影響があるように見える。
地質は痩せていて、とりわけ酸味を強く表現する。
全5ヘクタールの内、半分植樹されているが、向こう数年の内に全て耕作する予定とのこと。
ニコラ氏が畑を取得した時には、既に複数の葡萄が植えてあった。
それらの葡萄の品質を検査したところ、最終的にシャルドネだけを残して、全て引っこ抜いてしまったそうだ。
今も植え替え作業を進めており、ボルゴ・デル・ティリオの造るシャルドネの殆どが、この畑から生産されている。
Ruttars(ルッタルス)畑
1998年に取得。
” Ruttars(ルッタルス) ” のエリアは 大きく2カ所に畑が分かれていて全5ヘクタールの内、現在半分植樹されている。
畑は南東に面していて、いかにもコッリオらしい、常に冷たい水分を帯びた石灰質(ポンカ層)が露出している。
暑い地中海気候の影響をモロに受けているようで、アロマティックな白ワインを生産するに適している。
※同じ品種を植えても個性的なブーケが出るらしい。
ハイ・アルコリックでパワフルな葡萄が生まれやすく、他の畑のものと比べるとやや繊細さには欠けるらしい。
特に、ここの畑のトカイ(フリウラーノ)には、「特徴的な香り」と「複雑味」というユニークな個性があり、他の繊細な葡萄と混合させるには適している。(現在、オッリオ・ビアンコへ混醸している)
1990年から、このRuttars(ルッタルス)畑に適した葡萄の栽培について研究を重ね、畑の改良に力を入れているが、多くの実験を重ねた結果、「トカイ」+「ソーヴィニオン」+「リースリング」という絶妙の組み合わせを、見出した。
このワインが、 ” Studio di Bianco(ストゥディオ・ディ・ビアンコ) ” である。
現在、更に高品質なソーヴィニオンの苗木も進んでいて、近い将来「ワクワクするようなソーヴィニオン」が生まれることだろう。