Roagna (ロアーニャ) 訪問 2/2

セラーの内部の様子

引き続き、ロアーニャのセラー内部を見学。
ロアーニャのセラー

変態ワインファンにはお馴染みの、上部開放タンク(トノー)が並ぶ。
トノー(木製上部開放型発酵タンク)
トノーの山

同じ建物の奥にはステンレス製のタンクも置いてあった。
ステンレスタンク

 
僕が訪問した夏は、 ちょうど ” Langhe Bianco ” や ” Solea ” などの白ワインがボトリング直前で、ステンレスタンクの中で熟成されていた。

ロアーニャの白ワインは、若干のネッビオーロが含まれている。
飲み口がよく、スイスイと飲めてしまうが、芯がシッカリしている。
ランゲ・ビアンコとソレアの試飲
ソレアを試飲

トノーから直接注いでもらったドルチェットも、実に美味い。
ドルチェットの試飲
ドルチェットの美味さを絶賛

 
こちらはセラーの前の貯水タンク。
雨水の貯水タンク

エコを気取っているわけではない。
100年以上変わらぬ伝統的手法のひとつ。
水道水は使わず、セラーを洗うのに雨水を貯めて使っている。
水道水に含まれるカルキや化学物質も、徹底して排除したい考えのようだ。

 
一方、ボトリングマシーンは現代的。
ボトリングマシーン

長期熟成させてから出荷するためには、大量のボトルを自社にストックしておく必要が生じる。
ご覧のように、セラーの至る所、スペースというスペースに、ボトルが寝かせてある。
壁に埋まるボトルのストック

ロアーニャの造るバローロ&バルバレスコの特徴

これから飲む、テイスティング用のボトルがズラリ並べられていく。  
飲む順番は、とても重要!

一部は昨夜のうちに抜栓。
若いヴィンテージは、今さっきボトリングしていた山の中から。

試飲用のバルバレスコ

ロアーニャの造るネッビオーロの赤ワインは、マセレーション(果皮浸漬させる)期間と樽熟成させる期間が長いのが特徴。

ノーマル・クラスのバローロ&バルバレスコでは、マセレーション期間は70~90日間。
ミドル・サイズのバリック(小樽)とスラヴォニアン・オーク(大樽)で4~6年間樽熟成、その後ボトリング。

リゼルバ・クラスになると、マセレーション期間は80~90日間。
ミドル・サイズのバリックとスラヴォニアン・オークで、約8年間も樽熟成させた後にボトリング。

更に、フラッグシップである Crichet Paje (クリケット・パイエ)に至っては、 マセレーション期間は80~100日間となる。
8年間ミドル・サイズのバリックとスラヴォニアン・オークで樽熟成後にボトリングされる。

何れのワインも、リリースされるまでは、更にそこから数ヶ月~数年間のボトル熟成を要する。
因みに2009年のエスプレッソ誌で話題となった Crichet Paje 1999 は、ボトル熟成を2年間行なっているらしい。(延べ10年熟成?!)

ご近所に住むスーパースター、アンジェロ・ガイアのワインと比べれば、気の遠くなるような熟成期間だ。

テイスティングがスタート

バルバレスコのテイスティング開始

この日、セラーでテイスティングしたのは以下のワイン。
(当時のテイスティングノートをそのまま記載)

1. Barbaresco Montefico 2004(バルバレスコ・モンテフィコ)

粘度質エレガンテネットリしている。
酸が強く長い。果実感が全面に出てくる。
熟成感は既に出ているが、ルカ的には、まだベイビーなのだそうだ。

2. Barbaresco Asili 2004(バルバレスコ・アジリ)

同じヴィンテージだが、ライムストーンのニュアンスを強く感じる。
Montefico に比べ果実感よりも酸味が突出している。もっとエレガントな印象。

「良いネッビオーロとは、ボトルを明け、グラスに注ぐ第一印象から、エレガンスを感じるべきだ。」
とルカは明言。

あのジャングルのような畑から、こんな艶っぽい美女が生まれるとは驚きだ。

3. Barbaresco Paje 2004(バルバレスコ・パイエ)

同じヴィンテージながらも、既にシェリーのようなニュアンス(熟成香)が出始めている。
ドライトマトとシガレットのような香りが特徴的。
Montefico 、Asili とも全く違う味わい。
どちらかと言えば単一畑ならラバーヤ産が熟成したニュアンスに近いか?

同じヴィンテージ、同じ製法で造っているにもかかわらず、
バルバレスコにおけるテロワールの違いが見事に表現されている。

4. Barolo La Rocca e la Pira 2004(バローロ・ラ・ロッカ・エ・ピラ)

4
砂と岩の多いエリア。バルバレスコ3品よりも、ワイドでバランスがとれた味わい。

5. Barolo Vigna Rionda 2004(バローロ・ヴィーニャ・リオンダ)

La Rocca e la Pira よりも強く、更に凝縮感がある。
若い分、カッチカチに閉じている。 タンニンが甘く後味に残るのは、ファレットのエリアの特徴か?
20年くらい熟成したら、大化けしそうな味わい。

※このヴィーニャ・リオンダ畑は、 もともとはルーノ ジャコーザが所有していた。
※偉大な作り手に敬意を表し10年間購入を見合わせていた畑。

いよいよ、本気モード突入!!

「これまでは、オモチャさ。 ここからが本物のワインの世界だぜ。」
ランゲのテロワールを常に尊敬している、というルカ・ロアーニャが、したり顔で挑発してくる。

6. Barbaresco Paje Riserva 1999(バルバレスコ・パイエ・リゼルヴァ)

シルキーなタニックの後に特徴的なミネラル感がしっかり口に残る印象。
滑らかで後半からグングン伸びてくる、素晴しいワイン。

7. Barolo La Rocca e la Pira Riserva 1996(バローロ・ラ・ロッカ・エ・ピラ・リゼルヴァ)

飲んだ瞬間「お気に入り」になってしまった。

個人的には、同じロッケでも、ヴィエッティよりも好きかもしれない。
この甘くスパイシーな香りこそ、ロッケの香りの特徴。
何より飲み始めから最後までエレガンスが続く。

残念ながら 僅か700本しか生産していない(残っていない?)という。
チャンスがあれば絶対買うべきワインである。

(ここで、変化球。 白ワインの登場)

ネッビオーロの白ワイン、ソレアの試飲

8. Langhe Bianco Solea 2005 (ランゲ・ビアンコ・ソレア)

75-80% Chardonnay 20-25% Nebbioloという、如何にも変態心をくすぐられるセパージュ。
静かに、5年間熟成されたもの。
何故かソヴィニオンに似た、アロマがある。
幾ら飲んでも飽きの来ない、旨味の塊のような味わい。

9. Barbaresco Crichet Paje 2000 (クリケット・パイエ)

10年経っているのに「まだ若いワインだぜ。」と言い切る、ルカ。
確かにまだ閉じ気味な味わいではあるが、複雑さと瑞々しさ(内側からは発する力強さ)がある。
凝縮感については、今までのどのワインよりも勝る、まさにフラッグシップに相応しいクオリティ。

濁りのあるクリケット・パイエ

外観に、わずかに濁りがあるのは特徴的だ。(変態ワイン好きには、ド・ストライク)
澱ではなく、20年~30年経っても同じように濁っているらしい。
(以前、99を飲んだときは、そんなに濁っていなかったけどなぁ)

10. Barbaresco Crichet Paje 1989 (クリケット・パイエ)

これは、クレージー・ボトルだ !!
20年以上経過しているのに、まだまだフレッシュ!!
タンニンの厳しさは和らぎ、滑らかになっているのに、古酒にみられる「ひねた」印象は微塵もない。
今までのどのワインよりも、果実味・酸味・凝縮感・複雑さが秀でている。

クリケット・パイエ1989

何より、ヴィンテージに刻まれた数字からは、想像できない程、瑞々しく生命力に溢れている。
グングンと伸びてきて、香りとともに内側からワインが跳ね上がってくるかのようだ。

ワイン哲学を語りだすルカ
「これが森の力だよね。特別な事は何もしていない。あの土地がそうさせるのだよ。(笑)」と語りだすルカ。

驚くことに、これが抜栓して、半日も経った状態とは。
こんなワイン、今まで飲んだことがない。

時空を越える力を持った、とてつもないワインだ。

11. Barolo Chinato NV (バローロ・キナート)

誉れ高き Cappellano(カッペラーノ)のキナートと、双璧を成す程の素晴しい味わい。
ちなみに、「キナート」として呼称が許さるのは、バローロ産のみ。(バルバレルコでは不可)
あまりのの素晴らしさに、帰国すぐに、躊躇なく購入した1本。

ロアーニャ・バローロ・キナート

夕刻までルカ・ロアーニャとグラスを傾けながら、語り合う。
まるでワイン片手に瞑想をしているような気分だった。
グラスを傾け瞑想状態

テイスティングのボトル

お土産にエティケタのない「ミステリーボトル」を貰う。
これを飲んで何年のヴィンテージか当ててくれ、とのこと。
いつ飲むか悩ましい。(コルクには小さく85年と読めた。)


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