【お役立ち情報】バローロ5大産地とバルバレスコ3大産地の特徴とは?
出展:アルド・コンテルノ「プレス用写真:ランゲ地区(バローロ生産地)の風景」
「バローロ」と「バルバレスコ」。同じネッビオーロ100%のワインなのに、エリア毎に味わいの特徴が異なります。
バルバレスコ村にあるGAJAの敷地内でレストラン経営をしてた、地元では有名なソムリエに、バローロのテロワールについてご教示頂いたことがあります。
「地元の生産者から直接ワインを仕入れ、地元民相手にワインを提供している」プロの視点から語られた内容は、それまで僕が日本で聞いていた話とは、かなり異なるニュアンスでした。
バローロ5大産地とは
まず、イタリアを代表するワイン「バローロ」は、その生産地区の土壌は、大きく2つの特徴のあるエリアに分けられます。
東南のセッラルンガ・エリアは鉄分が多く、きわめて重厚、長熟タイプのワインを生むのが特徴。
他方、北西のラ・モッラとバローロ・エリアはマンガンやマグネシウム、石灰質に富み、なめらかで香り高いワインを生みます。
参照:http://gis.oikosweb.com/gisweb/consorziotutela/
※紫線は、バローロD.O.C.G.に指定されている生産区域
※赤線は、村(コミューン)の区画
現在、バローロD.O.C.G.に指定されている生産区域は、ランゲ丘陵にある11の村で認められています。
また、それぞれクリュと呼ばれる、特別なミクロクリマを持つ小さな区画が、100以上あります。
同じ「ネッビオーロ」と呼ばれる、黒葡萄で造られているにも関わらず、産地や区画ごとの特徴や、生産者の指向性の違いによって、ワインの味わいが大変バラエティ豊なものになっています。
特に有名な生産地区である、
- カスティリオーネ・ファッレット (Castiglione Falletto) 村
- セッラルンガ・ダルバ (Serralunga d’Alba) 村
- モンフォルテ・ダルバ (Monforte d’Alba) 村
- ラ・モッラ (La Morra) 村
- バローロ (Barolo) 村
は、「バローロ5大産地」とも呼ばれ、有名な生産者たちのセラーや畑が点在しています。
どの村に有名なワイナリーがあるか、素早く知りたい方は、こちらをご参照ください。
また、ワイン法上に定める生産地を確認したい場合は、こちらの記事をご覧ください。
バローロ5大産地の味わいの特徴
「バローロ5大産地」ごとに見る、典型的な味わいの違いの特徴は、以下のとおり。
カスティリオーネ・ファッレット (Castiglione Falletto)
地質が形成された時代:
中新世(ランゲ期 Langhian:1597万年前~1382万年前)
味わいの特徴
全体的に砂質が多く、酸味の余韻が長いため、「女性的」な味わい。
色浅くデリケート&エレガント。
カスティリオーネ・ファッレット村のテロワールを体現しているワイン
セッラルンガ・ダルバ (Serralunga d’Alba)
地質が形成された時代:
中新世(セッラバッレ期 Serravallian~トルトーナ期 Tortonian:1382万年前~724万6000年前)
味わいの特徴
鉄分が多いエリアで、重心の低い腰の据わった味わい。
骨格がしっかりしていて、酸を強く感じやすい。長期熟成に向き。
タニックなワインばかりと思われるが、色が薄く「カスティリオーネ」のようにエレガントなワインも多い。
全体的にスパイシーな印象あり。
セッラルンガ・ダルバ村のテロワールを体現しているワイン
モンフォルテ・ダルバ (Monforte d’Alba)
地質が形成された時代:
中新世(ランゲ期 Langhian:1597万年前~1382万年前)
味わいの特徴
非常に濃く・渋いバローロをつくる産地で、複雑性優れ、長期熟成に向いた、男性的な強い味わい。
骨格がしっかりしていて、酸を強く感じやすい。
タンニンが豊富。ビッグで厳格な味わいのワインが多い。
モンフォルテ・ダルバ 村のテロワールを体現しているワイン
ラ・モッラ (La Morra)
地質が形成された時代:
中新世(トルトーナ期 Tortonian:1162万年前~724万6000年前)
味わいの特徴
標高が高く、マンガンやマグネシウム、石灰質に富み、アロマティックなワインが多い。
シルキーで柔らかく、芳香に富んでいる。
「バリック」を使い、現代的なアプローチをするワイン生産者が、多い。
ラ・モッラ村のテロワールを体現しているワイン
自然派バローロの最上キュヴェ「ブルナーテ」旨味溢れる力強さと滑らかな味わい【6本〜送料無料… |
バローロ『ヴィネート・アルボリーナ』[2007]エリオ・アルターレ |
バローロ (Barolo)
地質が形成された時代:
中新世(トルトーナ期 Tortonian:1162万年前~724万6000年前)
味わいの特徴
「バローロ」村のワインは、バランス型で果実味に富む。まろやかで繊細。
果実が強くアロマティックなワインが多い。
バローロ村のテロワールを体現しているワイン
酒神バッカスが生み出す“自然の奇跡”。「バローロとは何か」を知ることができる。[2009] バ… |
ルチアーノ・サンドローネ バローロ・カンヌビ・ボスキス[1985](ファースト・ヴィンテージ) |
(初心者でも)バローロ通と思われるポイント
一般的に「ラ・モッラ」のワインは「陽気な味わい」「人懐っこい」と言われます。
短期熟成型で、わりと早い時期から楽しめるワインが多いです。
また、「カスティリオーネ・ファッレット」のワインは、とても繊細な味わいで、こちらも熟成期間は比較的短め。
渋めのワインが苦手な人や、ピノ・ノワールのように華やかな味わいを好む女性には、お勧めのエリアです。
他方、重厚な味わいを好む人には、「モンフォルテ・ダルバ」「セッラルンガ・ダルバ」産のワインがおすすめ。
骨太でスケール感があり、男性的な味わい、と言われています。
もし、健全な状態の、伝統的な造りをする生産者のオールド・ヴィンテージと巡り合えたら、あなたのワイン人生は、激変することでしょう。
バルバレスコ3大産地では
バローロと同じく、ネッビオーロ100%で造られるバルバレスコにも、「3大産地」と評される有名なエリア(村)があります。
ワイン法上に定める生産地情報を確認したい場合は、こちらの記事をご覧ください。
バルバレスコ (Barbaresco)
味わいの特徴
GAJAによる影響(追随・逆行)が、よくも悪くも、極端に進んでいます。
ネイヴェ同様に、果実味の豊かさ・タンニンの豊富さが特徴。
一部の例外除き、基本バリック使いが主流のエリアです。
バルバレスコ村のテロワールを体現しているワイン
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ネイヴェ (Neive)
味わいの特徴
「ボッティ(ボッテ)」と呼ばれる大樽による長期熟成が主流。
果実味の豊かさ・タンニンの豊富さが特徴。
バリックを使っても控えめ。クラシカルな味わいのバルバレスコが多い。
ネイヴェ村のテロワールを体現しているワイン
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トレイゾ (Treiso)
味わいの特徴
ライムストーンの香り強く、兎に角、酸味が強く感じやすいエリアです。
ネイヴェ、バルバレスコに比べると、エレガントな味わい。
トレイゾ村のテロワールを体現しているワイン
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(ビギナーでも)バルバレスコ通と思われるポイント
一般的に、バローロに比べ、バルバレスコの方が、より繊細で、酸がエレガント。
少し早めに飲み頃を迎えます。
近年の温暖化の影響により、暑い年はハイ・アルコリックなワインになりやすいため、バルバレスコの方が、ネッビオーロ本来の複雑な味わいを楽しみやすいと思います。(例えば、2003年や2006年ヴィンテージ)
グラスを片手に、こんなことを呟いてみせると、ワイン通のように見えるのでは、ないでしょうか?
ワインを愉しむときのポイント
極論を言えば、伝統的な造りのバローロは、「20年以上熟成されて、初めてそのワインの真価を垣間見せてくれるワイン」です。
バルバレスコなら、15年以上。
モダン・バローロ、モダン・バルバレスコでも、できれば10年以上は熟成期間をおきたいです。
そんなに長く待てない場合は、、デキャンタ(カラフェ)でエアキュレーション(空気を取り入れる)をするべきでしょう。
デキャンタがなければ、ワインの状態に応じて、飲む数時間前から抜栓しておく。
もしくは、大き目のグラスに、数回、移し替えて飲むののがよいでしょう。
多くの赤ワインがそうであるように、、冷やし過ぎは、ワインの魅力を大きく損ねます。
キンキンに冷えたバローロを飲んでも、ワインのもつ複雑さやアロマを愉しむことはできず、苦くて、酸っぱいだけです。
どんなグラスを選べばよいか?
バローロを飲む場合、ワインを注ぐグラスは、大振りのバローロ・グラス(ブルゴーニュ・グラス)が基本。
バルバレスコも同様です。
一部のモダン・バローロや、バリックの効いたバルベーラ種との混醸したワインには、ボルドー・グラスを選択する場合もあります。
しかし、本来主原料の「ネッビオーロ」は、香が複雑で、エレガントな酸味と豊富なタンニンに特徴がある葡萄品種です。
テロワールの違いよるアロマの特徴や、味わいの差を、注意深く愉しみたいのなら、やはり、バローロ・グラス(ブルゴーニュ・グラス)がお勧めです。
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