Venica e Venica 訪問 2/2
Venica e Venica(ヴェニカ・エ・ヴェニカ)ならではの、徹底した品質管理
こちらの建物も醸造室(主に一次発酵までを行う)となっている。
天井から白い布袋のようなリフトが、ぶら下がっているが、これは葡萄をプレスする機械。
この独特なプレス機で絞られた果汁は、極力外気に触れないように、施設内に重層に張り巡らされたパイプを通り、発酵槽へと運ばれる。
プレスから発酵まで、徹底して酸化による劣化を防いでいる。
下の写真のタンクでは、発酵中のワインをポンピング・オーバーさせている。
タンクの底部からワインを抜いて、ポンプでタンク上部に戻すことにより、上部に固まった果帽を壊して、タンク内のワインを循環させているのだ。
アキレイアにあるヴァルパネラ社でも同じような設備を見た事を告げると、
「こういうタンクは、ここらでは、ノーマル(一般的)よ」とのこと。
薄汚れた木桶が並ぶ、ナトゥラリスタ達の小さなセラーばかり訪問してきたせいか、こうしたピカピカに輝く金属質なタンクの森を観ると、まるで近代的な食品工場にでも来たかと錯覚しそうだ。
お馴染みの、ボトリングマシーン。
チャリン、チャリーンと心地よい音が響く。
今度は表に出て、畑を見学。
メルロー、カベルネ・ソーヴィニョンは Cordone Speronato(コルドン・シュペロナート)に、レフォスコは Guyot(グイヨー)、シャルドネは Doppio Capavolto(ドッビオ・カパヴォルト )に、それぞれ仕立てられている。
セラーから公道に面した正門へと続く道。 果てしなく長い。
セラーの軒先に、クラッシク・カーのトラクターが飾られている。
♪ 緑の中を、走り抜けてく、真っ赤なポルシェ ♪
ボルシェってトラクターも造っていたんですね。 知らなかった。
テイスティング・ノート
RIBOLLA GIALLA “L’ADELCHI” 2009 – D.O.C. COLLIO
1ヶ月前にボトリングしたばかりのものを抜栓。(4月17日)
通年 50%ずつ大樽とステンレスに分けて醸造されているはずだが、オルネッラさんの説明によれば、60% が大樽とのこと。
透明感のある淡いキラキラ輝く外観から連想させられるとおり、瑞々しく、天然水のようなさらりとした印象。
後から、リンゴ、キャンディー、黄色い花、白胡椒、ミネラルの香りが上がってくる。
酸味が長く、ミネラル分も豊富。
6-8時間程低温によるマセレーション・スキンを行っている、とテクニカル・データにあったが、リボッラ・ジャラ特有の渋味は、殆ど感じなかった。
MALVASIA 2008 – D.O.C. COLLIO
「丁度、飲み頃よ」と出された、マルヴァジーア。
50%ずつ大樽とステンレスに分けて醸造。
マルヴァジーアらしい、なんともロマンティックなアロマ。
このワインも水のような透明感がある、クリーンな味わいのワイン。
テクニカル・データによると、マロはかけていないそうだが、酸味はソフトであり、仄かな甘味と心地よい苦みがある。
原料である「Malvasia Istriana(マルヴァジーア・イストリアーナ)」は、「Malvasia delle lipari(マルヴァジーア・デ・レリパリ)」「Malvasia Toscana(マルヴァジーア・トスカーナ)」とも違うこの地方固有の品種。
「同じマルヴァジーアを名乗っても全く別の品種である」、とオルネッラさんは力説していた。
訪問した季節柄もあってか、このワインを飲んだ瞬間、白アスパラガスのリゾットが無性に食べたくなった。
“RONCO DELLE CIME” FRIULANO 2008 – D.O.C. COLLIO
300-400mと高い標高にある樹齢の、50年以上の畑から作られる、単一畑のトカイ・フリウラーノ。
ソーヴィニョンかと錯覚するような、青芝、黄色い花、ピピ・ド・シャーの香り。
さらりとした舌触り。白樺の樹液のような仄かな甘味と苦み。
イノックスタンクで発酵されているそうだが、2ヶ月間週一回の割合でバトナージュしているせいか、前述2品より複雑味があるように感じられる。
※この地方固有の品種である「フリウラーノ」や 「ソヴィニョナッセ」は、世界中で植えられまくっている「ソーヴィニョン」より古いヴィニフェラ系の種である。実際、どちらが起源で、亜種であるか、という論争が多々あるが、ソーヴィニョンは「フリウラーノ」や 「ソヴィニョナッセ」から選別されていった、優良種である、とする考えが一般的なようだ。
“RONCO DELLE MELE”SAUVIGNON 2009 – D.O.C. COLLIO
この、コッリオ・ソーヴィニヨン・ロンコ・デッレ・メーレは、彼らの哲学を体現しているかの如き、同社の看板ワインである。
何処までもクリーンな味わいであり、もはや「繊細な味付けのフランチとではないと、マリアージュできないのでは?」と思わんばかり。
ソーヴィニョン 100%のこのワインは、フランス産かと思うほど華やかな香があり、品種の代名詞である「ピピ・ド・シャー」が前面に出てくる。
遅れて、青いトマト、グリーンピーマン、バジリコといった香りもある。
アルコール度数 13,5% とは思えぬほど、軽やかな味わいであり、フィニッシュも長くバランスが良い。
「北のワインらしい」洗練されたストラクチャーと味わいのバランスが重要、と説くオルネッラさん。
「ナチュラリスト達は尊敬するが、ワインの品質としては問題(リスク)があり、世界的にも食の傾向は野菜や魚介が中心となりつつある今日、繊細かつエレガントな白ワインの需要こそ注目すべきであって、そうした食事に合うワインはビッグでジャミーなワインではないと考える。」という意見には、多くの人が同調するのではないか。
Refosco Bottaz 2006
15か月バリックで寝かせた後 ボトルで長期熟成したものらしい。
血のにおい、黒いバラ、カフェ、オリエンタルスパイス、野生のブラックベリー。
非常にタニックで苦く、ざらつきを感じ、今の段階では好みの味わいでない。
「さらさら系」のレフォスコが10年後、どのような味わいに変化をしているのかは、非常に興味をそそられた。
( 偉大な Brunate のバローロのように、厳しいタンニンが、時間とともに、ココアの様なコクを感じさせる深みと変われば、しめたものなのだが・・・)
別れ際、オルネッラさんと「真っ赤なポルシェ」の前で記念撮影。 本当に笑顔が素敵な方でした。
(2010年9月訪問)