ヴォエルツィオ家は、ラ・モッラの村に5代続く、ワイン農家である。

稼業を継ぎ、暫くは兄ジャンニとともに自社瓶詰を行っていたが、量産を志向する兄から離れ、別の道を歩むことになった。

創業は、1986年。

当初、わずか2haの畑しかなかったが、その後“La Serra （ラ・セッラ）”、“Brunate （ブルナーテ）”、“Cerequio （チェレクィオ）”、“Rocche dell’Annunziata （ロッケ・デラヌンツィアータ）”、“Fossati （フォッサティ）”、“Sarmassa （サルマッサ）”など、バローロの有名クリュを次々と所有。
これらの畑は、古い村の記録に残っており、1350年まで遡ることができる。

ロベルト・ヴォエルツィオといえば、極端に間引きされた高濃縮の葡萄から、ワインを造ることで有名である。

畑は、1haあたり 6,000 - 8,000本の高密度で植えられ、葡萄の樹 1本あたり、500～700グラムという低収量に抑えられる。

これは、1本の樹に結実するブドウの数量を、5房-8房に抑え（冬場に芽かき）、夏場、1本の樹当たり5房だけ残して房の半分より下と耳をカットする。

収穫される葡萄の房は、子供の拳（こぶし）程度の大きさしかない。

この驚異的な低収穫量栽培により、糖度の高い部分だけを収穫し、凝縮感の強いワインを造りだしている。

彼の栽培哲学はきわめて明快で、本来葡萄畑がもつ、自然の力を最大限尊重している。

化学肥料、除草剤、殺菌剤、防カビ剤または他の化学物質は、使用しない。

葡萄畑の畝の間の雑草は手動で削除され、状況に応じて牛フン堆肥や腐葉土を用い、受精は手でおこなう。

発酵はステンレスタンクでおこない、ドルチェット以外のワインは、大樽とバリックの組み合わせを使用して、熟成させている。

現在、同社は20haの畑から、年間約 40,000 - 60,000本を生産している。